ともに今を生きよ ― 南無阿弥陀仏 ―

「ともに」はとても聞き心地のいい言葉です。「おのおの別々に」とか「みんな勝手に」よりは「ともに」の方が響きが良く、心地がいいのです。誰もが「ともに」ということを願っているのではないかと思います。だから私達の周りあふには「ともに」が溢れかえっています。

そんな私達にあえて「ともに今を生きよ」と阿弥陀仏が呼びかけてくるのはなぜでしょうか。それは、私達の願う「ともに」と阿弥まなこ陀仏の眼から見た「ともに」は同じではないからです。

私達の「ともに」は自分達で範囲を決めてしまいます。だからそそとこには必ず「ともに」の外にいる人達がいます。そして「ともに」外にいる人を排除し傷つけてしまいます。そして、自分達の「ともに」の正義を共有したもの同士で相手を否定しあい、戦争に発展してしまうのです。

そんな小さな「ともに」しか生きられない私達に、阿弥陀仏は「ともに今を生きよ」と呼びかけているのです。呼びかけられた私達まなこは、阿弥陀仏の眼から見た「ともに」を尋ねていかなければなりません。そのことが、私達が阿弥陀仏からの呼びかけに応えることになるのではないでしょうか。

(梨谷 真嗣)